中国での結婚

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中国での結婚
中国では結婚するのもたいへんです。日本のように役所に届け出ればいいというわけにはいかないのです。以下はわたしの体験談です。(但、わたしたちの場合は国際結婚ですので、中国人同士の結婚方法とは若干異なります。さらにこれはかなり以前の上海でのやり方であることを御了承ください。)

日本人は男子で18歳、女子で16歳になれば結婚できますが、中国では男子22歳、女子20歳からようやく結婚できるようになります。いわゆる一人っ子政策によって推奨年齢はさらにこれから5年ていど上乗せされます。
中国でも、日本と同様、民事婚です。宗教婚はありません。日本は届出婚ですから、「婚姻届」を役所に届け出れば婚姻が成立します。それが可能なのは日本には世界的にも厳密な戸籍制度があるからです。
しかし、そういうものがない国ではいろいろとややこしい書類が必要です。

 

婚姻要件具備証明書
わたしは中国で結婚を成立させようと考えました。そのとき要求された書類のひとつが「婚姻要件具備証明書」でした。これぱっと見ただけでなんのことか解りますか? もちろんわたしは解りませんでした。これは当人が結婚できる条件を備えていることを証明する書類のことなんですね。そんなこと正面切って言われたことなどありませんから戸惑ってしまいます。

日本でこんな言葉を聞かないのは戸籍制度のおかげです。日本の戸籍制度は世界的にみても個人の情報を完備しているといわれていますが、それがあるためにその人物が結婚可能な状態にあるか否かがわかるのです。したがって本籍地以外に婚姻届を届け出るときは戸籍謄本が必要になります。これが婚姻要件具備証明書の代わりをしてくれているわけです。

外国で結婚するときは日本の戸籍謄本など役に立たないわけですから、本人が日本において結婚できる状態であることを証明する書類が必要になるということです。わたしの場合は戸籍謄本をもっていって法務局でこの証明書を発行してもらいました。「中国人何某と結婚できる条件を有している」といったようなことが書いてありました。

 

結婚登記所
必要書類を準備したら、二人ははまず結婚登記所なるところを訪れます。これには中国人同士のカップルが訪れる登記所と国際結婚のための登記所の二種類があります。場所も違うところにあります。(現在はどうか知りませんが、当時はなんだかへんてこな路地裏あたりに国際結婚登記所がありました。)

ここを訪れる人々はみな国際結婚をしようという人たちばかりですからみな幸せな顔をしています。受付のおじさんもにこやかに「おめでとう」なんて愛想をふりまいています。しかし、よく観察してみると若い二人ばかりでなく、相当の年配組や、歳の離れた組み合わせなんていうのもいます。

ここで書類を点検され、それらが揃っていると受理されますが、それで婚姻が成立するわけではありません。これから先はまだまだ長いのです。

 

健康診断
結婚登記所に「申請」すると、健康診断を受けるための書類と病院を指定されます。そうです、結婚しようとするものはまず互いに健康診断を受けなくてはならないのです。日本では人権侵害と非難されかねませんが、ここではじつに機械的にそれを強制されます。最近、日本でも結婚前にお互い健康診断をするというカップルも増えてきているようですが、中国では診断結果いかんでは婚姻の停止という恐ろしい可能性もあるのでドキドキものです。

わたしは外国人ですので、上海の海員病院で診断を受けるように言われました。妻は現地の指定病院(中国人用)でした。病院では身長、体重、血圧を測ってみたり、血液検査、レントゲンの透視検査、触診、問診をしたりします。このあたりまでは日本でも普通にする検査です。そして極めつけの性病検査とエイズ検査です。わたしは泌尿器科の病院も軍隊経験もありませんので、女医さんに弄られたのには参りました(笑)。カーテンの後ろから出てくるとお互い見知らぬもの同士ながらニヤッと笑います。恥ずかしさがそうさせるのでしょう。
わたしの後ろにはちょっと危ない日本人がいました。女医さんは慣れた日本語で彼に聞きます。「何入れてるの、金属、それともプラスチック?」彼はちょっとふてくされたように答えました。「プラスチック…」 どうやら偽装結婚の仕掛け屋さんのようです。

一週間後、診断結果を受け取りに病院に行きます。幸いわたしたちはノープロブレム。しかし、やはり中にはオー、プロブレム!という人もいました。そんな中で、皆がいる前でエイズ宣言をされた女性がいました。担当者は、そんなこっちゃ結婚なんてできないよ、と言外に言っているようです。日本では考えられないことです。プライバシーも何もあったものではありません。しかし、宣言をくだされた彼女もやはりただ者ではありません。「薬を飲んで治してくるから、もういちど検査してよ」と頼み込んでいました。

 

披露宴
中国も日本と同じように披露宴をします。わたしたちの披露宴は普通と変わったやり方をしました。妻の友達と合同披露宴をしたのです。彼女も国際結婚でした。相手はシンガポールの華僑です。上海での披露宴には妻とその友達の親族は来られますが、新郎のほうは彼もわたしも親族はほとんど来られません。つまり、お互い親族数が普通の半分になるわけです。それではホテルの会場経費も割高になるので、いっそのこと合同で披露宴をやろうということになりました。そんなわけで、日本、中国、シンガポールの三カ国合同披露宴の開催となったわけです。会場には上海語、普通話、英語、日本語が飛び交うことになりました。

中国の披露宴は服装にうるさくありません。ま、普段着かちょっとよそ行きの服でも着てくればそれで上等です。新郎たちはスーツ姿でじゅうぶんです。新婦はそれなりに服装に凝りますが、まず普通のファッションといってもいいくらいです。
日本と違うのは、新郎新婦が来賓のテーブルを回り、一人ずつに煙草とお酒のサービスをするところでしょうか。新郎はお客さんひとりひとりと乾杯をします。そのときビールビンや白酒のビンを持って、太刀持ちの役目をしてくれるのが仲人です。

そうそう、中国と日本の大きな違いのひとつはこの仲人ですね。中国では仲人は独身者がやります。たいてい新郎新婦の友人たちです。独身の恋人同士だとベストです。わたしたちも妻の友人のカップルに仲人をしてもらいました。
その仲人がわたしの後ろに控えていてビールを注いだり空になったビンを取り替えたりしてくれるのです。途中で新郎が飲めなくなったり、ダウンした場合は彼が代役をつとめます。

日本で「蛍の光」で知られている音楽がありますね。あれは中国では(中国に限らず外国では)たんなる音楽で、日本のようにお別れの時とか、閉店のときにならすようなことはありません。これが披露宴の最中に頻繁に流れてくるものですから、あたしゃこれでもうお開きかいなと何度も帰りかけましたです(笑)。

 

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