高速道路を逆走して事故を起こすという事件を最近よく見聞きします。だいたいは高齢の方が道をまちがえての逆走らしいですが・・・。
私は中国で高速道路を逆走したことがあります。もちろん私が運転したわけではありませぬ。運転手氏がおりましたが、彼の決断で高速道路逆走と相成ったしだいであります。
それは中国山東省青島の流亭飛行場から済南へ向かう途上のことでありました。
済南まで飛行場からおよそ1時間弱の行程です。天気もよく絶好のドライブ日和でありました。この一帯は高い山がなく、丘のような小山が散在しております。樹木相は貧しく、まばらな潅木が生えているくらいです。それらの風景を楽しみながら車は調子よく済南の出口までやってきました。しかし!なんと出口はなんの断りもなく閉鎖されているではありませんか。事前の警告もなく、いきなり出口への路上にアスファルトの塊が置かれて道をふさいでおります。
それを見た運転手氏はすぐに次の出口へ向かいました。当然ですね!
しかし、私の思惑とは異なり(私は次の出口で降りると思っておりました・・・)、その出口でいきなりユーターンし始めました。そこは出口であると同時に高速道路の終点でしたので、入り口と出口が一緒になっているところでした。そこでこんな芸当ができたのであります。
車は反対車線に入り、一路済南への出口へと走ります。しかし、しかし、なんと反対車線の出口も封鎖されていたのであります。さすがの運転手氏も途方に暮れたのでしょう、出口の前に車を止めしばし沈思黙考の様であります。我々は殿様気分ですから気楽なものです。これ幸いと高速道路に降りて一服するは記念写真を撮るはという能天気さです(笑)
運転手氏も一服しておりましたが、なにやら決意したのかやおら車に乗ってくれと手招きします。車に乗りますと、運転手氏は高速道路を逆走しはじめました。もちろん慎重に路肩を走るのですが、こちらに向かって走ってくる車はそんなことは知らずにビュンビュン飛ばしてやってきます。いかにハザードランプを点けて走行していても、危険度は低くなりません。
人間、思い込みというのは恐ろしいもので、高速道路を走っているときは逆走車があるということなど思いもしないのです。相手の車は顔が見えるほど接近してようやくこちらが逆走していることに気づいてギョッとした顔をして驚いています。それはそれなりに面白いですが、こちらも命がけです(笑)
十分間ほどの逆走を終えて我々はようやく終点出口へ到着しました。しかし、そこには何故か大勢の警官たちがたむろしています。運転手氏も我々も逮捕を覚悟しました。ところが、彼らは我々を見て見ぬ振りをしたのです。出口が封鎖されているのに同情してくれたのでしょうか。おかげで我々は無事高速道路を脱出できたのでした。
*右の写真はその時のものです。こちらに向かって走っているワゴン車が「正しく」走行しているのです。我々が路肩を走行しているのがわかるでしょうか・・・。
相手の運転手が「なんじゃぁ?!」といっているのがよく分かります。(もちろん中国語!(笑))